Officina(オッフィチーナ名称)
DeAnima Cicli(デアニマ・チクリ)

住所:
Via delle Spone, 26, Pergine Valsugana トレント県(トレンティーノ=アルト・アディジェ州)

Telaista(フレームビルダー)
Gianni Pegoretti(ジャンニ・ペゴレッティ) 
Antonio Attanasio(アントニオ・アッタナシオ)

展示車両・フレーム

Unblended

DeAnimaは、ジャンニ・ペゴレッティという、少々異色のキャリアを持つビルダーによって生み出された、まだ設立5年という若いブランドだ。“ペゴレッティ”の名に聞き覚えのある方もいるかもしれない。彼の兄は、世界でも有数のフレームビルダーとして知られたダリオ・ペゴレッティ。 かつて、兄ダリオが工房から送り出されたフレームは、マルコ・パンターニ、ミゲル・インデュライン、マリオ・チポッリーニといった名だたるスター選手の活躍を支えた。弟ジャンニの工房への参加で、ペゴレッティのブランドはアーティスティックな感性を得て、兄ダリオの存在と共にその名を世界に知られる存在に成長した。しかし、後に兄弟は袂を分ける。筆者にその理由を知る由もないが、以降の二人は弁護士を通しての対話しかしないほどの絶縁状態であったという。“あった”と書いたのは、彼ら兄弟の今生の別れはダリオが2018年に急遽したことで永遠のものとなってしまったからである。

 兄ダリオと決別したジャンニは「サン・パトリニャーノ」という、ヨーロッパ最大の麻薬中毒患者のための更生施設で、社会復帰プログラムの一環として、薬物との関係を完全に断ち切り、社会への復帰を願う若者たちに自転車作りを学ばせる講師の仕事を始めた。また、ジャンニは、最新の生産設備を誇り、大手メーカーのフレーム製造も請け負う、言わばイタリアのハンドメイドバイク製作の重要な拠点でもあったこの施設で、製造部門の責任者だったのだ。

「フレームを作るだけでなく、人々が生まれ変わる手伝いをした。この施設での9年間を、人生で最も重要な経験だった」と話すジャンニ。

2015年、サン・パトリニャーノの施設の移転と、自転車部門の閉鎖が決まったことを機に、自らの工房を立ち上げることを決意する。施設の一番弟子でかつ同僚だったアントニオが、ここでもジャンニの相棒だ。
工房の立ち上げ当初から、イタリアの伝統的な自転車作りのメソッドを守ることを思い描いている。ジャンニに言わせれば、自転車にまつわるビジネスの変化とともに、イタリアの大手メーカーはマスプロダクションという新たなメソッドを受け入れ、かつてのフレーム製作の魂は失われてしまった。

「自転車の工房を始めるために、銀行に行き、融資を受ける。それでアジアで生産されたフレームにペゴレッティのステッカーを貼って市場に出せば、ビジネスはより容易いだろう。 私たちは小さなブランドでも、自分たちの望む道を進んで成長してゆきたい」

 DeAnimaは他の大勢のハンドメイド自転車メーカーと異なり、フレーム作りの素材のメインをカーボンとしている。
「フレームの材料となるチューブをメーカー(コロンブス、デダッチャイ等)から仕入れることなく自分たちで用意する。すなわち素材まで管理したフレーム作りが可能だ。」単に過去の伝統にとらわれるだけでなく、技術の進歩を受け入れ、それを自らの成長につなげようとする。
カーボンフレームと言っても、現在主流のモノコックではなく、それぞれのチューブをつないで接着して作り上げる。モノコックよりもはるかに手間がかかるが、ユーザーに合わせたサイズのフレーム設計のためには不可欠だ。

 プロトタイプを経て発表した第一弾のカーボンフレーム“Unbalanced”の後、矢継ぎ早にニューモデルをリリースし、現在はロード、グラベルのカーボンフレームを3種類、スチールを2ジャンルでそれぞれ4種類ラインナップしている。 また、金属フレームでわずか1350g(未塗装重量)という軽量化を実現した “O.Q.O.C”を世に出すなど、経験豊富なスチールフレームにおいても意欲的な取り組みを行っている。